【古文が読めない】共通テスト、模試の裏ワザ|予備校講師が20分で解決

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共通テストや模試の古文の文章、全く意味が分からずマジで読めないんですが💦 あれを読めたり、時間内に解けたりする方法はあるのですか?

はい。20分で解決できます。理系の方も、かんたんにマスターできます。

フジテレビ ニュース出演時

運営 受験ネット(代表 加藤)
東日本で高校への講師派遣、通信・個別指導事業を展開。代表加藤は、早大卒、予備校講師を経て国家資格キャリアコンサルタント(登録番号20022587登録証)。高校内講演に年80回。代表プロフィール詳細※ページ内にAmazon等のプロモーションリンクを含む場合があります。


結論ファースト

知識は10分間で準備します。

  • 文法事項は、まずは頻出1位〜12位のみでOK。
  • 「現代に置きかえる意識」はページ内で説明(意識するだけ)。
  • 現代に置き換えるためには、人間関係の把握が必要。敬語は3項目は必要(頻出23〜25位)。

読み方は10分間で理解できます。

  • 本文以外(リード文、設問、注)では『場面スイッチ』をオン。「いつ、どこで、誰が、何を」の4Wメモを取る。
  • 本文では『心情スイッチ』をオン。本文の出だしと、途中理解が詰まった部分で「誰が、どう感じた、なぜ」の3Wをつかむ。

古文が読めない! 速く読む方法はあるの?

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共通テストの古文の過去問、意味が分からなくて、何度も読んで、結局時間不足でした💦

はい。実は、専門的に研究している学者の中でも、古文をノ―ヒントで読める人は少ないと言われます。そのため受験生は、読む前に合法的にヒントを得る必要があります。よく知られているように、リード文、注などを読めばよいのですが、普通に読んでは時間不足になります。これは裏ワザがあります。

  • リード文、設問、注を見て「いつ、どこで、誰が、何を」の4Wメモを取る。
  • 本文の出だしと、理解が詰まった部分で「誰が、どう感じた、なぜ」の3Wをつかむ。

また、古文単語を暗記すれば読めるようになるというのは、大きな誤解。日本は島国で変化が少ないためか、古文には現古同義語の割合が、圧倒的に多いのです。単語よりも、現古の変化が激しい、助動詞の基本を押さえた方が、読むときの引っかかりは減ります。

  • 文法事項は頻出1位〜12位のみ押さえる。単語は(初期に)覚える必要がない。

例えば、外国人が「ジャニーズの令和の乱」という日本語の文章を読むとします。その時に、ジャニーさん、タッキー、藤島ジュリー景子、SnowManが出てくるとして、それぞれの「身分」や関係を知らないまま読むのは、難しいです。身分と、そのヒントになる敬語は、要所だけを押さえます。それだけでは理解が難しいレアな身分や人間関係は、リード文などに、必ず書かれています。

  • 敬語は3項目だけ(頻出24〜26位)押さえる。古文常識は役人の身分の基本だけで良い。
  • リード文、設問、注を見て「いつ、どこで、誰が、何を」の4Wメモを取る。

最後に、古文のなかにもジャニーズ事務所のような権力争いの話は、多く出てきます。逆に言うと、古文を読むときに、この話今のジャニーズの話だよね?のように、いまに置きかえるクセをつけると、一気に理解が進み、苦手意識が半分になります。この裏ワザを知っただけで、つかえていたもの(これまで古文に苦しめられ、脳が理解しがたいものとして拒否している)が取れた受験生もいます。

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【速報】2023年共通テスト国語第3問古文 本文・設問解説

漢文にも応用できる?

漢文も全く同じ仕組みで、読めるようになります。

  • リード文、設問、注では『場面スイッチ』をオン。「いつ、どこで、誰が、何を」の4Wメモを取る。
  • 本文では『心情スイッチ』をオン。本文の出だしと、途中理解が詰まった部分で「誰が、どう感じた、なぜ」の3Wをつかむ。

ただし、古文に比べ、評論調の文章が増えます。その場合、リード文、設問、注ではテーマをつかみ(「何が、どうである」)、本文では「誰が」の部分は「筆者が」になることに、注意してください。

裏ワザ 漢文では返り点を追って返り読みすることで、脳のリソースを消費してしまい、話を理解する余裕がなくなることがあります。返り点(レ点、二点)は、目的語と助動詞につくことを理解し、一見難度が高いように見えますが、白文に慣れるのが早道です。(例)尽人事 待天命

本文を読む前に、リード文、設問、注を見て「いつ、どこで、誰が、何を」のメモを取る

①リード文を活用する

次の文章は、『栄花物語』の一節である。藤原長家(本文では「中納言殿」の妻)が亡くなり、親族らが亡骸をゆかりの寺(法住寺)に移す場面から始まっている。これを読んで、後の問い(問1~5)に答えよ。

まずはリード文です。面倒だからと読み飛ばす人もいますが、そもそもリード文は、このヒントがないと読めないだろう、という判断を前提に書かれていますので、読み飛ばすのは自○行為です。

リード文からは、「いつ、どこで、誰が、何を」を読み取ります

「いつ、どこで、誰が、何を」はとても重要です。例えば、もし友だちが「食べたらまいうー」とLINEを送ってきたら、どう思いますか?

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誰が何をだよ? 馬鹿なの?と思います💦

そうですよね。「いつ、どこで、誰が、何を」の情報がないと、人は頭がパニックになる性質を持っています。リード文から、「いつ、どこで、誰が、何を」(とき、場所、人物、状況)を読み取ります。

下は、ある受験生が実際に取ったメモです。

次の文章は、『栄花物語』の一節である。藤原長家(本文では「中納言殿」の妻)が亡くなり、親族らが亡骸をゆかりの寺(法住寺)に移す場面から始まっている。これを読んで、後の問い(問1~5)に答えよ。

ところで、上の受験生のメモには「屋敷」とありますが、なぜ「家」と書かなかったのでしょうか?

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大きな家なんて、どこにも書いてないが。

はい。これは、中納言が上位の貴族であるという古文常識によります。現在でいうと、官僚(国家公務員の一部)の上に立つ、麻生太郎副総裁ぐらいのイメージがちょうど良いです。(2022年1月現在)

麻生副総裁
麻生副総裁

お呼びか?

麻生副総裁クラスなら、自宅というよりは屋敷でしょうし、お手伝いさんもいるかも知れません。古文常識の学び方は、後から記します。

②設問を活用する

リード文を確認したあとは、設問からも、「いつ、どこで、誰が、何を」のヒントを得ます。前半の設問は時間をかけずに、よく出てくる単語を一瞬だけ見ます。後半は少し時間をかけます。

問2画像) さらっと見て「おくやみの手紙」「返事」といった表現が、複数出てくることをつかむとよいでしょう。麻生副総理クラスなら、おくやみの手紙を多数受け取るはずですね。

問3画像) 「妻の描いた絵」が複数回出てきます。亡くなった妻は、上手に絵を描いていたのかも知れません。(ヒントを得るだけで、決めつけないように注意します)

問4画像) 後半の設問ですので、少し時間をかけます。ここでは、「いつ、どこで、誰が何を」の誰がにあたる、人物をチェックするとよいでしょう。

注に人物図(画像)があるので照合すると、「大北の方」は妻の母親、「僧都の君」は妻の父の弟でお坊さんと分かります。この辺りが存命ということは、中納言(長家)の妻は、比較的若くして亡くなったのかも知れません。

「進内侍」は、家系図に出ていませんので、仕えていた人(今で言うとお手伝いさん)かも知れませんね。

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古文の人物って、小納言とか、おめー誰だよって、興味がないので軽視しがちですよね。

はい。古文が苦手な場合、興味がないので、人物に興味は持てないはずです。

ただ、「いつ、どこで、誰が、何を」(とき、場所、人物、状況)は古文のカギです。

例えば、外国人に桃太郎を理解してもらうには、「昔、日本のある村で、桃太郎という子どもが、村人の敵である怪物を退治した話だぞ!」と伝えるしかありません。外国人は、「MOMORAROって誰?許意味がないわ」と思うかもしれませんが、人物を理解するハードルだけは、乗り越えてもらう必要があります。

問5画像) 後半の設問ですが、選択肢の文が長く時間を取られそうです。このような場合は、飛ばしても構いません。リード文、設問、注のチェックは、あくまで本文を読む前の準備ですので、使って良い時間を意識します。

③注を活用する

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注は、字が小さいし面倒だから、飛ばしちゃいますよね~

はい。高校入試や、やさしめの現代文では、注は飛ばしても損がないことがありますが、古文では「大損」になります。必ずチェックしてください! やはり「いつ、どこで、誰が、何を」(とき、場所、人物、状況)に気をつけます。

「いつ、どこで、誰が、何を」は、正確には(とき、場所、人物、状況)を指します。火事は、状況にあたります。

注は、受験生から見ると長くて無駄に感じますが、出題者は「なるべく短く、設問に関係のある内容に絞って」と考えています。「いつ、どこで、誰が、何を」の情報をまとめると、起きたかもしれないことが想像できることがあります。

この想像は、当たらないこともあるのですは、脳が準備運動をした形になるため、本文の理解のスピードは相当速くなります。

【速報】2023年共通テスト国語第3問古文 本文・設問解説

本文では、出だしで「誰が、どう感じた、なぜ」をつかむ

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ようやく本文! 訳しながら読めばいいですか?

はい。共通テストで古文を解く人は、現代文も解きますので、最低3問。すると、持ち時間は26分程度となり、訳しながらでは厳しいです。古文のまま読むのがおすすめです。ただし、

  1. 冒頭は、流れをつかむのに重要なため、訳しながらでよい。
  2. 途中、話がまったく理解できなくなったら、その少し前から訳してみてもよい。
  3. 「誰が、どう感じた、なぜ」をズバリ問う設問もある。

このような、スタンスがおすすめです。

とき、「いつどこで、誰が何を」(とき、場所、人物、状況)については、リード文、設問、注である程度終えているはずです。本文の出だしでは、「誰が、どう感じた、なぜ」をつかむのがコツです。

大北の方も、この殿ばらも、またおしかへししまろばせたまふ。これをだに悲しくゆゆしきことにいはでは。また何事かはと見えたり。さて御車の後に、大納言殿、中納言殿、さるべき人々は歩ませたまふ。いへばおろかにて、えまねびやらず。

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大北の方、つまり妻の母親が、ふしている。妻の母親が悲しんでいるのは、娘が死んでしまったからですよね!

はい、それでOKです。「大納言殿、中納言殿、さるべき人々」たち、つまり主人公やその「上司」も当然同じ心情のはずです。

古文(物語調、随想調)は、「誰が、どう感じた、なぜ」(人物、心情、その原因)をつかむと、効率よく読み進めることができます。これは、余り習うことがないかも知れませんが、古文(物語調、随想調)はもちろん、小説を読むときに1番重要な観点です。

古文では、物語、随想とも共通ですが、説明文に近い文章の場合は、誰が=筆者となり、どう感じたは、筆者の意見や判断となります。その原因=根拠です。

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「誰が、どう感じた、なぜ」は、古文も現代文も問わない読み方なんですね!

その通りです。現代文の評論では、筆者がなぜそういう意見を持ったのかが問われますし、小説では、主人公など人物ごとの心情と、その原因(できごと、他の人物の言動)を追うことを求めています。国語という科目は、「誰が、どう感じた、なぜ」を読み取る能力を試す科目と言えます。

本文では、詰まったときや傍線部でも、「誰が、どう感じた、なぜ」をつかむ

内裏うちわたりの女房も、さまざま御消息、聞こゆれども、よろしきほどは、「今みづから」とばかり、書かせたまふ。

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リード文、設問、注、そして本文の出だしでだいぶ分かっていたのでここまで順調に読めたんですが、ここで意味がわからなくなりました💦

なるほど。「書かせたまふ」の主語は、前の文からの流れや敬語があることから、主人公の中納言(長家)と分かりますよね? さきほど、麻生大臣に例えた人です。

女房(身分は高くない)が手紙(御消息)を出したけれど(「ども」)、「そのうちに自分から」とだけ、中納言(長家)は、返事を書いたのです。心情、その原因を探ってください。

「を・に・が・ど・ば」では主語が変わりやすい

内裏うちわたりの女房も、さまざま御消息、聞こゆれども
よろしきほどは、「今みづから」とばかり、書かせたまふ。

「を・に・が・ど(=ども)・ば」では主語が変わりやすい、という有名な裏ワザも知っておくと便利です。ただ、これは単独では全く効果がなく、リード文、設問、注で「いつ、どこで、誰が何を」の準備をしていて初めて効果が出ます。

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原因も心情も書いてないよ~💦

付近には、見当たりませんが、文章は段落も変わることなく、続いてゆきますよね。すると、和歌に心情が書かれているかも知れません。(心情は同じ場面では変わりません。急に変わったとしたら、その人はメンタルということになります)

中納言殿の御返し、

  起き臥しの契りはたえて尽きせねば枕を浮くる涙なりけり

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涙=悲しい! 何と簡単な。妻が亡くなったばかりで、悲しさに包まれているんですね。

はい。妻が亡くなったばかりで悲しい気持ちに包まれているため、中納言(長家)は「そのうちに自分から」とだけ返事を書いた、のです。

すると問2は解けてしまいます。

問2 傍線部A「『今みづから』とばかり、書かせたまふ」とあるが、長家がそのような対応をしたのはなぜか。その理由として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。回答番号は[ 25 ]。

① 並一通りの関りしかない人からのおくやみの手紙に対してまで、丁寧な返事をする心の余裕がなかったから
④ 見舞客の対応で忙しかったが、いくらかの時間ができた時には、ほんの一言ならば返事を書くことができたから。

「悲しい気持ちに包まれている」心情は、①の丁寧な返事をする心の余裕がなかったがよいでしょう。④は、「見舞客の対応で忙しかった」に絞っており、悲しさを含んでいません。

※①は、悲しい気持ち、多忙によるせわしなさの両方を含むと見ることもでき、安全な解釈です。

このように、入試問題自体が「誰が、どう感じた、なぜ」(人物、心情、その原因)をつかむの法則を駆使して作られていますので、この法則は、読解だけでなく正答にもつながります。

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なるほど! でも自分なら「並一通りの関りしかない人」が書いてないから切っちゃうかも?

はい。それは「女房」が基本的には使用人という立場だという、古文常識を使います。

この問題では、確かに単語(消息)、読解力(逆接・ども)も関わるのですが、古文常識は、学ぶのに時間がかからない割には破壊力があります。とくに人物(身分)は、国語便覧の身分表(官位表)も参考に、しっかり押さえてください。

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確かに麻生副総理が、国会の書記や警備みたいな人からわんさかお手紙をもらっても、「どうも。そのうちにごあいさつでも」となりますよね。悲しみの中ならなおさら!

古文(物語調、随想調)を早く読み、理解できる方法のまとめ

本文を読む前

まず、リード文、設問、注を読む。「いつ、どこで、誰が、何を(とき、場所、人物、状況)をつかみ、メモも取る。

本文を読むとき

冒頭では、「誰が、どう感じた、なぜ」(人物、心情、その原因)をつかむ。理解が行き詰まった場合や、傍線部でも、「誰が、どうか感じた、なぜ」をつかむように意識する。

上の裏ワザをやってみた方は、コメント欄に感想を頂けると、大変助かります。

事前の勉強

単語、文法、敬語、古文常識のなかでは、古文常識、敬語が学習時間の割に効果が出やすい。ただし、単語や文法も、非常によく問われるので、必ずやってください。
(文法は、独立問題がなくても、問1ウの「里に出でなば」はじめ、設問や読解に関与しています)。

①古文常識の勉強方法 … 苦手な人の立場に立った『マドンナ古文常識』がおすすめです。ただし、国語便覧の「官位表」は、必ずカラーコピーし、本に挟んでおくようにしてください。

② 敬語の勉強方法

「古文文法重要ベスト40」の22~25位に基本がまとまっています。まず基本を完璧に押さえ、つぎに枝葉をつけると、忘れにくい強固な知識になります。

※古文が苦手で共通テストまで日がない場合、上の22〜25位だけでも効果はあります。共通テストは、浅く広い理解だと解けない場合が多く、基本を深くが重要です。

③ 単語の勉強法

古文単語の本は、どれでも構いません。

名詞・動詞は丸暗記、形容詞・形容動詞は例文を中心にニュアンス(イメージ、雰囲気)を研究することが重要です。名詞・動詞は、消息=手紙、のように丸暗記でOK。まずは、名詞・動詞から始めましょう。最初の目標は、名詞・動詞100語、形容詞・形容動詞100語程度です。

※古文が苦手で共通テストまで日がない場合、手間がかからない、名詞動詞に絞るしかないでしょう。形容詞・形容動詞は、出会ったらプラス方向、マイナス方向に区別してしのぎます。

④ 文法の勉強法

文法は、単語以上に現古の変化が激しく、読解にかなり影響します。下のランキングで、高速学習が可能です。

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「誰が、どう感じた、なぜ」が現代文でも使えるのは、驚きました。「いつ、どこで、誰が、何を」(とき、場所、人物、状況)は流石に無関係ですよね?

いいえ、関係ありますよ! 評論なら、本文を読む前に、最後の設問や注を参考に、「何を」にあたるテーマをつかんでください。評論文は、実は時や場所を絞っている場合が多いです(近代、西洋など)。人物は「筆者」ですので、特定する必要はありません。

  • 本文を読む前に 「いつ、どこで、誰が何を」
  • 本文や傍線部 「誰が、どう感じた、なぜ」
いつどこで誰が何を誰がどう感じたなぜ
古文(物語、随想)○心情
現代文(小説)○心情
古文(評論)筆者○テーマ筆者○意見・判断
現代文(評論)筆者○テーマ筆者○意見・判断

主語をつかむは、万能兵器ではない!

「を・に・が・ど・ば」では主語が変わりやすい

内裏うちわたりの女房も、さまざま御消息、聞こゆれども
よろしきほどは、「今みづから」とばかり、書かせたまふ。

「を・に・が・ど(=ども)・ば」では主語が変わりやすい、という有名な裏ワザも知っておくと便利です。これで古文が読めると考えている人もいますが、単独で効果がなく、リード文、設問、注で「いつ、どこで、誰が何を」の準備をしていて初めて効果が出ます。

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古文では、主語の変化さえつかめば簡単という話を聞きましたが?

はい。主語の変化は、それなりに重要ですが、それだけでは読めるようになりません。

例えば、英語の長文を与えられ、ロバート、ポール、ケヴィン、カレン、サラの主語を把握できたとしても、それらの人物の立場や関係を知らない限り、何も分かりません。

中学や高校で読む、教科書の英語長文なら何となく理解できると感じるかも知れませんが、アメリカの高校や大学を舞台にしていることも多くありませんか? 「いつ、どこで、誰が、何を」(とき、場所、人物、状況)は、自然に理解できるように設定されていることが多いのです。(近年、アメリカのハイスクール、生徒、夏休みの遊びの計画を話している等)

「いつ、どこで、誰が、何を」(とき、場所、人物、状況)を理解するための準備(古文常識や身分の理解)や段取り(リード文、設問、注の活用)なく、主語の変化だけに着目して、古文が読めるようになることはありません。

【速報】2023年共通テスト国語第3問古文 本文・設問解説

共通テスト 第3問古文の全文

第3問 次の文章は、『栄花物語』の一節である。藤原長家(本文では「中納言殿」の妻)が亡くなり、親族らが亡骸をゆかりの寺(法住寺)に移す場面から始まっている。これを読んで、後の問い(問1~5)に答えよ。

 大北の方も、この殿ばらも、またおしかへし臥しまろばせたまふ。これをだに悲しくゆゆしきことにいはでは、また何ごとをかはと見えたり。さて御車の後に、大納言殿、中納言殿、さるべき人々は歩ませたまふ。いへばおろかにて、えまねびやらず。北の方の御車や、女房たちの車などひき続けたり。御供の人々など数知らず多かり。法住寺には、常の御渡りにも似ぬ御車などのさまに、僧都の君、御目もくれて、え見たてまつりたまはず。さて、御車かきおろして、つぎて人々おりぬ。

 さて、この御忌のほどは、誰もそこにおはしますべきなりけり。山の方をながめやらせたまふにつけても、わざとならず色々にすこしうつろひたり。鹿の鳴く音に御目もさめて、今すこし心細さまさりたまふ。宮々よりも思し慰むべき御消息、たびたびあれど、ただ今はただ夢を見たらんやうにのみ思されて過ぐしたまふ。月のいみじう明きにも、思し残させたまふことなし。内裏わたりの女房も、さまざま御消息聞こゆれども、よろしきほどは、「今みづから」とばかり書かせ給ふ。進内侍と聞こゆる人、聞こえたり。

  契りけん千代は涙の水底に枕ばかりや浮きて見ゆらん

中納言殿の御返し、

  起き臥しの契りはたえて尽きせねば枕を浮くる涙なりけり

また東宮の若宮の御乳母の小弁、

X 悲しさをかつは思ひも慰めよ誰もつひにはとまるべき世か

御返し、

Y 慰むる方しなければ世の中の常なきことも知られざりけり

 かやうに思しのたまはせても、いでや、もののおぼゆるにこそあめれ、まして月ごろ、年ごろにもならば、思ひ忘るるやうもやあらんと、われながら心憂く思さる。何ごとにもいかでかくとめやすくおはせしものを、顔かたちよりはじめ、心ざま、手うち書き、絵などの心に入り、さいつころまで御心に入りて、うつ伏しうつ伏して描きたまひしものを、この夏の絵を、枇杷殿に持てまゐりたりしかば、いみじう興じめでさせ給ひて、納め給ひし、よくぞもてまゐりにけるなど、思し残すことなきままに、よろづにつけて、恋しくのみ思ひ出できこえさせたまふ。年ごろ書き集めさせたまひける絵物語など、みな焼けにし後、去年、今年のほどにし集めさせたまへるもいみじう多かりし、里に出でなば、とり出でつつ見て慰めむと思されけり。

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